キモト リカ   Kimoto Rika
  木本 理可
   所属   藤女子大学  人間生活学部 子ども教育学科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2024/06
形態種別 研究論文(大学、研究機関等紀要)
査読 査読あり
標題 性別違和を抱える人を対象としたレジスタンストレーニングが生理面・心理面に与える影響~Gender Dysphoria軽減によるQOL向上を目指して
執筆形態 共著
掲載誌名 藤女子大学QOL研究所紀要
掲載区分国内
出版社・発行元 藤女子大学QOL研究所
巻・号・頁 19(1)
担当区分 筆頭著者
著者・共著者 木本理可、村山春香、石橋勇司、木脇奈智子、神林勲
概要 本研究は,トランスジェンダー(TG)における性別違和の軽減に,レジスタンストレーニング(RT)による身体調整が有効であるかを探るため, Female to male(FTM)2名を対象とした20週間にわたる週2回以上のRTの実施が生理面・心理面に与える影響を,事例的に検討することを目的とした.その結果,両対象者ともに形態測定では筋量と胸囲が増加し,体脂肪量と腹囲に減少がみられた.生理測定においては,両対象者ともに筋力がほぼ全項目で増加し,対象者Aの20週間後の血中テストステロン濃度はRT開始前と比較して2倍近くまで上昇した.心理測定では身体満足度が向上し,TGの心身一致性では,対象者Aのスコアは上昇したが,対象者Bではゆらぎがみられた.客観化された身体意識について,身体監視に関するスコアが対象者Aでは低値と高値の間を行き来し,対象者Bでは上昇した.身体羞恥では対象者Aのスコアは低下したが,対象者Bでは上昇した.身体コントロールへの意識では対象者Aのスコアは高値を示したが,対象者Bでは低値を示した.以上のことから, 20週間にわたる週2回以上のRTの実施により,筋量・筋力などの生理面が変化したことで,身体満足度などの心理面にもポジティブな影響を与え,その結果,TGのメンタルヘルスを向上させる可能性が示唆された.加えて,対象者の性自認を自覚した時期や期間,自身の性自認との折り合いのつけ方,社会的受容の度合いなどにより,RTによる身体変化の受け入れ方に違いが生じることも考えられた.