イシカワ セナ   Ishikawa Sena
  石川 世菜
   所属   藤女子大学  人間生活学部 食物栄養学科
   職種   助手
発表年月日 2023/05/14
発表テーマ キャベツグルコシノレート含有量に対する越冬貯蔵の影響
会議名 第77回日本栄養・食糧学会大会
学会区分 全国学会
発表形式 ポスター
単独共同区分 単独
国名 日本
開催地名 札幌
開催期間 2023/05/12~2023/05/14
発表者・共同発表者 〇石川 世菜¹⁾、阿部 ありみ¹⁾、小椋 百華¹⁾、菊野 笑伽¹⁾、濱田 理央¹⁾、今
村 美月¹⁾、藤本 紗矢香¹⁾、上西 孝明 2 ⁾、赤野 裕文 3 ⁾、中河原 俊治¹⁾
1) 藤女子大人間生活・食物栄養、2) 和寒町農業活性化センター、3) (株
)Mizkan・MD本部
概要 【目的】キャベツなどアブラナ科植物はイソチオシアネートの前駆体であるグルコシ
ノレート(GSL,カラシ油配糖体)を含む。GSLは130種以上が知られる多様なアミノ酸
誘導体であり、ヒトを含む哺乳類、昆虫などに対し生理作用を示すものが少なくない

‘越冬キャベツ’は北海道北部和寒町で生産され、積雪期に屋外で貯蔵した後、供給され
る特色ある作物である。そこでGSLあるいは遊離アミノ酸含有量に対する長期間の雪中
貯蔵の影響を調べた。また、糖組成の変化を調べた。
【材料と方法】キャベツ‘湖月’は11月に収穫後、屋外に静置して、11月〜3月の雪中貯
蔵期間中1か月ごとに採取した。これを葉部と中肋・茎部とに分けて凍結乾燥した
。GSL標品はアリルスルファターゼ(EC 3.1.6.1)で脱硫酸し、デスルホ体として
HPLC(λ229 nm)で定量した。遊離アミノ酸はDABS-Cl誘導体化の後、HPLC(λ468
nm)を用い、スクロース、グルコース、フルクトースはRI検出で定量した。
【結果と考察】キャベツ中の三種のGSLを定量したところ、シニグリンが最も多量に存
在し、葉部で乾重量g当り180 µmol、中肋・茎部で220 µmolであったが、他の二種は
その1/10であった。GSLは雪中貯蔵開始後、いったん減少したが、4ヶ月後においても
貯蔵前の含有量を維持した。遊離アミノ酸はS-メチルメチオニン(ビタミンU)がほと
んどを占めており乾重量g当り60 µmolであったが、その他の遊離アミノ酸はその1/10
以下であった。メチオニンは検出されなかった。S-メチルメチオニンは貯蔵期間中に
葉部において20%増加を示した。スクロース含有量は貯蔵期間中、中肋・茎部で54%
増加し乾重量g当り0.7 mmolを示した。本研究では、収穫時の根切り処理後、雪中で
貯蔵したキャベツの有用成分が4ヶ月にわたって損なわれないことを見出した。