イシカワ セナ   Ishikawa Sena
  石川 世菜
   所属   藤女子大学  人間生活学部 食物栄養学科
   職種   助手
発表年月日 2023/08/26
発表テーマ キャベツのS-メチルメチオニンスルホニウム含有量に対する 雪中貯蔵の影響
会議名 日本食品科学工学会第70回記念大会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 単独
国名 日本
開催地名 札幌
開催期間 2023/08/24~2023/08/26
発表者・共同発表者 (1藤女子大人間生活・食物栄養、2拓殖大北海道短大、3(株)Mizkanマーケティ
ング本部)
〇石川 世菜1、阿部 ありみ1、上西 孝明2、赤野 裕文3、中河原 俊治1
概要 キャベツにはアミノ酸誘導体で胃腸薬成分として知られる S-methyl
methionine sulfonium chloride(SMM)が含まれる。
‘越冬キャベツ’は北海道北部和寒町で生産され、収穫後、雪中貯蔵し、
冬期に生鮮野菜として供給される特色ある作物である。そこでキャベ
ツの SMM およびいくつかの遊離アミノ酸含有量に対する雪中貯蔵の影響を調
べた。 予備実験として湖月の遊離アミノ酸を一斉分析したところ、Gln、Glu、Pro
の含有量が多かったので、これらとSMM、およびSMMの前駆体であるMetを
定量した。収穫時の葉部におけるSMM含有量は60.1±6.4 µmol/g DWであっ
たが、Gln、Glu、Pro 含有量は、それぞれ 2.1±0.7 µmol/g DW、1.0±0.3
µmol/g DW、0.9±0.2 µmol/g DW であり、キャベツ中においてSMMが圧倒的
に優勢であった。Metは検出されなかった。中肋・茎部でもSMM含有量は58.4
±2.3 µmol/g DW であり、Gln、Glu、Pro 含有量はやはり低値で、それぞれ 3.6
±0.4 µmol/g DW、0.9±0.1 µmol/g DW、2.6±0.5 µmol/g DW であった。雪中
貯蔵期間中の葉部SMM含有量は貯蔵開始時(60.1±6.4 µmol/g DW)に比べ、
2 か月貯蔵により 71.6±4.6 µmol/g DW、4 か月貯蔵により 67.3±2.9 µmol/g
DWと有意に増加した。中肋・茎部では4か月貯蔵により50.4±2.0 µmol/g DW
とやや低下した。一方、葉部の遊離アミノ酸は、Gln が貯蔵開始時(2.1±0.7
µmol/g DW)に比べ、2か月貯蔵により3.6±0.0 µmol/g DW、4か月貯蔵により
3.3±0.3 µmol/g DW と有意に増加したが、Glu、Proは4か月の貯蔵でやや低
下した。本研究において収穫時の根切り処理後、雪中貯蔵したキャベツにおい
て、SMM や遊離アミノ酸含有量が漸減するのではなく、有意な増加が認められ
るなど、付加価値の向上に寄与することを明らかにした。