イシカワ セナ   Ishikawa Sena
  石川 世菜
   所属   藤女子大学  人間生活学部 食物栄養学科
   職種   助手
発表年月日 2024/05/25
発表テーマ キャベツのグルコシノレートと抗菌活性に対する雪中貯蔵の影響
会議名 第78回日本栄養・食糧学会大会
学会区分 全国学会
発表形式 口頭(一般)
単独共同区分 単独
国名 日本
開催地名 札幌
開催期間 2024/05/24~2024/05/26
発表者・共同発表者 〇石川 世菜¹⁾、佐野 紘子¹⁾、小椋 百華¹⁾、上西 孝明 2 ⁾、赤野 裕文 3 ⁾、中河原
 俊治¹⁾
1) 藤女子大人間生活・食物栄養、2) 拓殖大北海道短大、3) 株式会社Mizkan マーケ
ティング本部
概要 【目的】キャベツはイソチオシアネート類の前駆体であるグルコシノレート(GSL,カ
ラシ油配糖体)を含む。昨年度本大会において、積雪期に屋外で貯蔵した‘和寒越冬キ
ャベツ’では脂肪族GSLであるシニグリンが主な分子種であることを報告した。そこで
シニグリンから生成するアリルイソチオシアネートが強い抗菌活性を示すことから、
雪中貯蔵期間中における‘和寒越冬キャベツ’の抗菌活性の変化を調べた。
【材料と方法】キャベツ‘湖月’は11月に北海道上川郡和寒町にて収穫後、屋外に静置し
て、11月〜3月の雪中貯蔵期間中1か月ごとに採取した。これを葉部と中肋・茎部とに
分けて凍結乾燥した。これを60%MeOHで40℃、2h抽出し、0.35〜5.6%として抗菌試験
に供した。抗菌試験は、食中毒菌として知られるSalmonella abonyの増殖阻害活性と
して測定した。
【結果と考察】1.2x10 3 CFU/mLのSalmonella abonyを96 wellプレートに100
µL、0.35〜5.6%キャベツ抽出液を200 µL加え、37℃、24h培養後、600 nmの濁度を測
定した。増殖阻害率を算出したところ、各濃度のキャベツ抽出物とも雪中貯蔵期間中
に有意な変動を示した。これと同じ試料のシニグリン含有量と比較し、ピアソンの相
関係数を検定したところ、相関係数0.38、P値0.52を示した。また、菌の増殖曲線の誘
導期(h)に対するキャベツ抽出液の影響についても調べたところ、濃度依存的に誘
導期が延長した。そこで5.6%抽出物の誘導期時間とシニグリン含有量についてピアソ
ンの相関係数を検定したところ、危険率5%で相関係数0.41、P値0.19を示し、有意に
相関関係があることを認めた。これらのことから雪中貯蔵期間中のキャベツに脂肪族
GSLであるシニグリンが一定濃度維持され、それが雪中貯蔵期間中の抗菌活性に関与し
ていることが示唆された。