キドウラ トヨカズ
Kidoura Toyokazu
木戸浦 豊和 所属 教育学部 職種 准教授 |
|
言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2021/11/15 |
形態種別 | 研究論文 |
査読 | 査読あり |
標題 | 文学と《感情》―坪内逍遥「美辞論稿」における《知情意》・《想像力》・《同情》― |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 日本近代文学 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 日本近代文学会 |
巻・号・頁 | 105,16-31頁 |
総ページ数 | 16 |
概要 | 本稿の目的は、近代の文学理論が《感情》と強固に結び付き展開した背景と意義を、坪内逍遥「美辞論稿」(明治26年)を範例に取り、明らかにする点にあった。本稿は、「美辞論稿」における西洋の理論――《知情意》論及び《想像力》論――の受容に焦点を絞って考察し、次の二点を指摘した。
第一に「美辞論稿」は、18世紀以降の《心》の理論の支配的枠組であった《知情意》論を根拠に「文」の編制を行った。その結果、《文学》固有の意義は「文」全体の中で、改めて《情》に見出されることとなった。 第二に「美辞論稿」は、《文学》は《想像力》によって作られると主張する。この《想像力》は、他者と《感情》を共有(「同情」)し、それを普遍化・理想化する力である。「美辞論稿」にはこの《同情的想像力》と名付け得る力への関心が 芽生えていた。 以上の二つの論点は、《感情》を基軸に近代の文学理論の展開を追うとき、一定の視角を提示するだろう。 |