ナカムラ テツヤ
Tetsuya Nakamura
中村 哲也 所属 教育学部 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2022/03/15 |
形態種別 | 研究論文 |
招待論文 | 招待あり |
標題 | 国語教育とテクスト論の射程 ―ロラン・バルトの「書き手」「テクスト」「読者」 |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 岐阜聖徳学園大学国語国文学国語国文学 第41号 |
掲載区分 | 国内 |
巻・号・頁 | (41),1-29頁 |
総ページ数 | 29 |
概要 | 「テクストtexte」という外来語・カタカナ語は「織物」に由来し、確かに教科書と言う意味での「テキスト」「テキストブック」と言った言い方で、日常生活に散見する実にさり気ない言葉に違いないが、しかし、フランス語読みの「テクスト」という言葉がもたらした影響力には甚大なものがあった。また、近年、国語教育においても「テクスト」という言葉は、今後のわが国の国語教育を展望していく上で、「キー概念」のひとつに確実になり、中央教育審議会答申(平成23年)でも検討されていた。テクストは、旧来の「文学批評」「文学研究」を支えてきた「作者」「作品」といった諸概念を根底から問い直す「術後」の役割を果たし、文学理論・文芸批評、文学教育あるいは現代思想に強大なインパクトを与え続けて今日に至っている。その背景に関しては、一九六〇年代以降の現代思想の動向、とくにフランスにおける構造主義、ポスト構造主義、記号学、記号論の流れがあり、さらに広く考えると、「言語」(「記号」)からの近現代の「学問・科学」「知のあり方」「知識」全般をテーマ化する「言語論的転回」といわれる現代の思想動向と密接にかかわっている。本稿では、なぜこの言葉がわが国の国語教育に取り入れられ、またどのような役割を期待されているのかについて考察しするための方途として、フランスの現代思想、とくに「テクストtexte」「テクスト論」「テクスト分析」を実践的に提起し、その普及の立役者となったロラン・バルト(Roland Barthes 1915-1980)の思想に焦点を絞り、現代の国語教育・言語教育がかかえる時代状況に照らしながら、その理論、思想の意味を考察している。 |