シノヘ ケイスケ
Keisuke Shinohe
四戸 慶介 所属 外国語学部 職種 専任講師 |
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発表年月日 | 2023/07/16 |
発表テーマ | 社会・世界の分断と(英語)文学・文化研究 |
会議名 | 日本ヴァージニア・ウルフ協会第127回例会(2023年7月例会) |
主催者 | 日本ヴァージニア・ウルフ協会 |
学会区分 | 研究会・シンポジウム等 |
発表形式 | 口頭(一般) |
単独共同区分 | 共同 |
国名 | 日本 |
開催地名 | 一橋大学国立(東)キャンパス 東2号館2201教室 |
開催期間 | 2023/07/16~2023/07/16 |
発表者・共同発表者 | 菊池かおり氏(大東文化大学准教授) |
概要 | 近年の世界の分断がより鮮明になる状況にあって、文学や文化を研究するという行為は、社会・世界の分断との関係において、どのような行為と位置づけられるのか。また、どのような役割を担っているのか。かなり大きなテーマではあるが、本発表ではそうした問題を考える契機として、近年刊行された2つの論文を取り上げた。
そのひとつは、2022年、New Left Reviewに掲載されたGöran Therbornの“The World and the Left”である。Therbornは、気候変動や帝国主義に紐づいた地政学、デジタル資本主義、金融資本主義等によって助長される冨の一極集中など、20世紀に噴出した諸問題が、ネオリベラリズムを介して、21世紀に継承されていることを指摘する。それを踏まえて、同時多発的に、世界各地で形成される「新しい左派」、その背景と働きを考察することで21世紀の今、左派の役割を再評価しているのが、この論文の狙いである。 そしてもうひとつは、2023年にBoundary 2に掲載されたLeah Feldmanの“Trad Rights:Making Eurasian Whiteness at the‘End of History'”で、トランプ政権誕生の際に立ち上げられた特集企画の一篇である。この論文は、白人至上主義やファシズムといった1930年代の再来を思わせる現代の右派の思想が、21世紀の文脈において、いかに、「権威主義的感情構造」や「ネオリベラルな思想形態」、そして反グローバル主義と関わりながら形成されたのか、その過程と複雑な構造を読み解く。そしてFeldmanは、現在のウクライナ情勢を取り巻く言説の仕組みを露にする。 これら2本の論文を考察することで、本発表は、分断された社会・世界における左派・右派それぞれにまつわる諸問題との関わりを確認しながら、そのメカニズムを紐解くものである。分断という言葉で語られてきた現代の社会・世界において、(英語)文学・文化研究がどのように機能し得るのかを考える機会を探った。 |