マツモト カズヒコ
松本 和彦 所属 経済経営学部 経済学科 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2021/03/10 |
形態種別 | その他 |
招待論文 | 招待あり |
標題 | 働き方改革と文学ー『蟹工船』を題材としてー |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 令和2年度富山県寄附講義報告論集 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 高岡法科大学 |
巻・号・頁 | 1(91)-87(177)頁 |
総ページ数 | 87 |
担当区分 | 筆頭著者 |
概要 | 小林多喜二『蟹工船』を題材として、労働について法哲学的・法思想史的に考察する。この小説は北洋漁業で蟹漁をする漁夫や雑夫たちの過酷な労働実態を忠実に描き出している。この作品は1928年10月28日に筆をおこされ、1929年3月30日に完成した。その間五カ月を要している。この作品はこの年の5月と6月の『戦旗』に分載された。この小説は『戦旗』に発表された当初から削除や伏字が多数存在した。それにもかかわらず、三つの版の発行部数は総計で35,000部に及んでいる。当時としては記録的な発行部数と言える。また外国語に翻訳され、海外でも高い評価を受けた。その意味でも『蟹工船』はプロレタリア文学の記念碑的作品である。わが国における資本主義の黎明期に彼らのような労働者の犠牲があったからこそ今の日本があることを忘れてはならない。『蟹工船』をはじめ、わが国のプロレタリア文学を改めて読み返すことによって、現代社会のさまざまな矛盾を認識できる。現在、行き過ぎた資本主義が世界的な規模で格差拡大などさまざまな深刻な問題を引き起こしている。今こそマルクスの『資本論』などを読むことによって、問題解決への示唆を得ることができるかもしれない。 |