オカ ケンゴ
  岡 健吾
   所属   教育文化学部 教育学科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2023/09/29
形態種別 学術論文
査読 査読あり
標題 民族教育機関としてのアイヌ文化学習拠点の可能性
―北海道白老町「アイヌ民族博物館」の成立と展開より―
執筆形態 単著
掲載誌名 共生社会システム研究/共生社会システム学会編
掲載区分国内
出版社・発行元 農林統計出版
巻・号・頁 17(1),183-208頁
総ページ数 293
原著者 岡 健吾
概要 本稿では、アイヌ民族自身による自民族文化の学習拠点づくりに取り組んできた地域として北海道白老町の「アイヌ民族博物館」に着目し、「民族教育機関としてのアイヌ文化学習拠点」の在り方とその課題を明らかにした。
北海道白老町ではアイヌの人々の暮らしを観光業が支えてきた。明治初期に和人の移住が始まり、戦後の観光ブームにより、観光者が飛躍的に増加したことに伴い、白老町のアイヌの人々は当初は外部資本を受けて観光商業施設を建設した。その後、「見世物」ではなく、学問的な研究に裏付けられた文化としての価値を求める声の高まりを受け、観光商業施設ではなく、町立の公的教育機関である資料館を建設し、その運営母体として地域住民であるアイヌの人々が運営の主体となる財団法人を設立した。その後、資料館は「アイヌ民族博物館」として登録され、その後のアイヌ民族教育の拠点となった。さらに、国の政策による新しい国立博物館建設の要請を受け入れた結果、「国立アイヌ民族博物館」として今日に至っている。
アイヌ文化学習拠点としての「アイヌ民族博物館」は「住民(アイヌの人々)の学習プロセスとしての『アイヌ民族博物館』」「調査に基づく科学的な情報と体験活動の提供および国内外との交流」「『ふるさと学習』による地域教育計画としての位置づけ」といった特徴を有している。また「公的教育機関としての『博物館』建設の意義と課題」「学校教育におけるアイヌ民族教育の位置づけをめぐる課題」をそれぞれ有している。以上のように民族教育機関としてのアイヌ文化学習拠点には今後の展開において可能性があるとともに、引き続き取り組むべき課題があるといえる。今後、「アイヌ文化」は民族共生の視座から、北海道(アイヌモシリ※リは小文字)に根付く「固有の文化」として論理的かつ実質的に認識されていくことが重要である。