ヤマシタ トモミ
Tomomi Yamashita
山下 倫実 所属 十文字学園女子大学 教育人文学部 心理学科 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2023/03 |
形態種別 | 研究論文 |
査読 | 査読あり |
標題 | 子どもの年齢別にみた親アイデンティティの獲得と夫婦関係の関連 |
執筆形態 | 共著 |
掲載誌名 | 十文字学園女子大学紀要 |
掲載区分 | 国内 |
巻・号・頁 | 53,97-107頁 |
総ページ数 | 10 |
著者・共著者 | 加藤陽子 山下 倫実 石田有理 |
概要 | 本研究の目的は,本研究では中学生以下の年齢の子どもを持つ母親に対して,子どもの年齢別に親アイデンティティの獲得状況及び親アイデンティティと夫婦関係との関連について探索的に検討することであった。 2022年3月にクロスマーケティング社に依頼し,3歳以上中学生以下の子ども1名をもつ母親計400名(幼児・小学校低学年・小学校高学年・中学生,各100名)対象に,WEB上でのアンケート調査を実施した。 子どもの年齢区分ごとに親IDの獲得状況が異なるのかを調べるため,子どもの年齢区分(幼児・小学低学年・小学高学年・中学生)を独立変数,親IDの各下位尺度を従属変数とした一要因の分散分析を行った。その結果,「親としての不安」と「親役割の受容」に有意傾向の群間差が見られた(F(3, 396)=2.52,p<.10;F(3,396)=2.62,p<.10)。TukeyのHSD法による多重比較を行ったところ,「親としての不安」では幼児と中学生が小学高学年より有意に得点が高い傾向が(ps<.10),また「親役割の受容」では小学低学年が幼児より有意に得点が高かった(p<.05)。次に,子どもの年齢別に親IDと夫婦関係についてPearsonの積率相関係数を求めた。その結果,いずれの年齢区分においても,肯定的な親アイデンティティは夫婦関係との強い相関が見られた。さらに,子どもが高学年以降においてのみ,親としての不安といった不安定な親アイデンティティが夫婦関係の良好さと関連することが示された。 以上の結果から,親アイデンティティの肯定的な側面については,子どもの年齢にかかわらず,夫婦関係の良好さと強い関連があった。また,子どもが手がかからなくなるだろう高学年以降は,夫婦関係が良好であるほど親としての不安が減少する傾向がみられ,良質な夫婦関係が不安定な親アイデンティティを抑制する可能性が示唆された。 |