タキシマ マサコ
Masako Takishima
滝島 雅子 所属 十文字学園女子大学 教育人文学部 文芸文化学科 職種 教授 |
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発表年月日 | 2022/04/01 |
発表テーマ | 日本語学習者に対する美化語とその学習に関するアンケート調査—日本語母語話者への調査結果との比較から |
会議名 | 待遇コミュニケーション研究 |
主催者 | 待遇コミュニケーション学会 |
発表形式 | その他 |
単独共同区分 | 単独 |
開催期間 | 2022/04/01~2022/04/01 |
発表者・共同発表者 | 滝島 雅子 |
概要 | 学習者の中には、美化語を中心とする、名詞に「お」「ご」が付いた語の使い方が複雑で分かりにくいという声が多い。しかし、日本語母語話者にとっても、その用法については必ずしも整理されていないため、日本語教育では、これまで積極的な学びが行われてこなかったという指摘がある。また、学習者の美化語の使用や学習の実態、母語の違いによる差異などに関する検証も乏しかった。本研究では、違う母語を持つ日本語学習者が、美化語をどのように使用し、どのような印象を持つのかについてアンケート調査(中国語母語話者、韓国語母語話者、英語母語話者、男女6名ずつ計36名対象)を行い、日本語母語話者に対する同様のアンケート調査(男女18名ずつ計36名対象)の結果と比較し、その違いや特徴を統計的な手法を用いて分析した。
アンケート結果の分析から、調査の対象になった5組の語(お金/金、お酒/酒、お勉強/勉強、お店/店、お茶/茶)については、「美化語/非美化語」の選択について、学習者と母語話者との間に有意な差はなかった。しかし「お店/店」の選択に関しては、母語話者にのみ性差との関連が見られ、現代日本語における美化語の性差による使用傾向を学習者に伝える必要性が示唆された。また、美化語の印象に関する記述を共起ネットワークで分析したところ、学習者は美化語に対して、母語話者と同様に「丁寧」「上品」などのポジティブな印象は持っているが、非美化語に関しては、母語話者の回答に見られるような「乱暴」「雑」などのネガティブな印象は持たない傾向があること、また、特に英語母語の学習者に関しては、「美化語は女性、非美化語は男性」という性差と結びついた印象の違いの認識が見られなかった。日本語教育において、美化語と非美化語の印象の違いを対立的に教えることや母語による学習者の認識の違いを考慮した指導の検討が望まれる。 また、今回のアンケート調査では、美化語の学習方法や難点などについても聞いたが、学習者は、主に授業で教師から美化語を学んでいるが、最終的な習得には、日常生活や職場などでの母語話者との会話やドラマ視聴などを重視していること、困った時にはインターネットを活用する人が多いこと、「お/ごの使い分け」や「相手や場面での使い分け」など、美化語の使用に関して判断に迷う場面が少なくないことが明らかになった。 |