マツダ マリコ
Mariko Matsuda
松田 真理子 所属 京都文教大学 大学院臨床心理学研究科 博士後期課程 京都文教大学 臨床心理学部 臨床心理学科 京都文教大学 大学院臨床心理学研究科 博士前期課程 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2019/02 |
形態種別 | 研究論文(学術雑誌) |
査読 | 査読あり |
標題 | 妻の自殺を経て人生の再構築に向かった中年期男性 -宗教性の観点も交えて |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 心理臨床学研究 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 日本心理臨床学会 |
巻・号・頁 | 36(6),589-599頁 |
著者・共著者 | 松田真理子 |
概要 | 要約
本論文では40代男性の事例を妻の自殺、子ども達の成長、裁判、夢と宗教性という多角的観点から検討し、男性クライアントについて全人的に把握することを試みた。その際、心理療法においてセラピストが宗教性という観点を持つことはどのような意義があるのかについても検討した。本事例は妻の自殺を巡っての損害賠償裁判の側面から死を扱う次元と、妻の死をいかに受け入れていくかという宗教性を帯びた次元が交錯し、進んでいった。その際、Otto,R.のヌミノーゼ概念や聖なるもの(垂直方向)と家族や隣人(水平方向)を結ぶ「祈り」、日本独自の心理療法である「森田療法」が尊重する「あるがままに身を委ねる」観点から検討した。亡き妻の喪の作業は壮絶な苦しみを伴うものであったが、後妻を得、女児を得るという展開は男性クライアントの宗教性の目覚めにより、心理的な死と再生が布置したと考えられる。人生の不条理に対する怒りと憤りをぶつけることのできる場としての裁判がクライアントの後追い自殺を防ぎ、この世につなぎ止める防御弁として作用したとも考えられた。 |