タナカ ヒロミキ
  田中 啓幹
   所属   京都文教大学  臨床心理学部 臨床心理学科
   京都文教大学  大学院臨床心理学研究科 博士前期課程
   職種   助教
発表年月日 2024/09/28
発表テーマ 他者との関係を通じて心身の機能が調和する体験の質的研究
会議名 日本人間性心理学会第43回大会
主催者 日本人間性心理学会
学会区分 全国学会
発表形式 ポスター
単独共同区分 単独
開催地名 KDDI維新ホール 山口県山口市・新山口駅前
開催期間 2024/09/27~2024/09/29
概要 【はじめに】生活の中で,人は他者との関係を通じて心身の様々な機能を調整していると考えられる(田中,2024)。本研究では,他者との関係を通じて,長期にわたって抱えていた問題や負の感情が,瞬間的に腑に落ちることで変容した体験の内容を分析することで,自己において調和する体験について探究する。
【方法】 調査協力者13名に,『人と対面したり会話したりしているときに,「そうか!」・「そう!」・「なるほど!」・「わかった!」といった,そのとき話している話題に深く納得したり腑におちたりした体験をお話しください』と教示して面接を行った。そして,自己調和体験と思われるエピソードの内容を分析した。
【結果】 自己調和体験時やその前後の心身の様子やその体験によって働き出す様々な機能の詳細が明らかとなった(図1参照)。
【考察】 自己が調和する体験は,認知の切り替わりや,認知機能(トップダウン)の強さ・過剰さの緩和,及び自己に馴染む認知機能が感覚機能(ボトムアップ)を圧迫しなくなり,程よく調和し得る。また,感覚機能の鈍感さが,様々な感覚を感じることが出来る程に回復して,感覚―認知機能のつながりの不均衡が程よく調和することで実現する。自己調和状態の感覚機能と認知機能の程よいバランスは個々人によって異なると考えられる。心身機能のネットワーク(田中,2024)は,自己に馴染むように共時的・全一的に布置され,心身の症状が緩和する。その調和した心身の軸が自己に馴染む中で様々な機能が活性化したり回復したりすることが示唆される。経験が積み重ねられることで状態の様相も変容し,不調や問題が生じにくくなるレジリエンスが身につくことが示唆される。