タナカ エリ
Eri Tanaka
田中 恵理 所属 熊本保健科学大学 保健科学部 共通教育センター 熊本保健科学大学 保健科学部 医学検査学科 職位 准教授 |
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発表年月日 | 2022/05/21 |
発表テーマ | (学会発表)「エヴリン」におけるアイルランド性への回帰と船乗りの帰還 |
会議名 | 日本英文学会第94回全国大会 |
主催者 | 日本英文学会 |
学会区分 | 全国学会 |
発表形式 | 口頭(一般) |
単独共同区分 | 単独 |
開催期間 | 2022/05/21~2022/05/22 |
概要 | ジェイムズ・ジョイスの短編集『ダブリナーズ』の「エヴリン」では、エヴリンが恋人フランクとのアイルランド脱出を試みるも結局断念する。その理由について、エヴリンが「家」に囚われた状況にあるからとするのが慣習的な読みであるが、本発表では、アイルランド性と異国性との間の揺れという観点からその理由を再考sした。作品冒頭からエヴリンの意識には、異国性への希求とアイルランド性への回帰が繰り返し現れる。アイルランドから出たいという気持ちがますます彼女をアイルランド的なものに引き戻すというパラドックスに何度も陥ることにより、エヴリンは結果的に異国との境界を象徴する波止場で立ち尽くすのである。加えて、このアイルランドからの分離とアイルランドへの帰属というテーマは、フランクの船乗りという人物像にも重ね合わせられている点に注目した。フランク自身が異国性とアイルランド性を兼ね備えたハイブリッドな存在として造形されていることを読み取り、エヴリンの心理的揺れの考察を深めた。 |