サクライ ミチト
  櫻井 信人
   所属   保健医療学部 看護学科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2023/03/09
形態種別 学位論文
標題 自死遺族グループの変容過程を通して見出された自死遺族の心的外傷後成長
執筆形態 単著
掲載区分国内
出版社・発行元 新潟県立看護大学大学院
担当区分 筆頭著者
概要 本研究の目的は、自死遺族グループの変容過程を通した自死遺族の心的外傷後成長(PTG)を明らかにすることである。実践的研究手法であるミューチュアル・アクションリサーチを参考に研究を実施した。研究対象者は、A県の自死遺族グループの参加者7名、スタッフ1名とした。はじめに研究対象者とパートナーシップを形成した上で、共同で創出した『願い』の実現に向けて対話を繰り返し、自死遺族グループを進めた。活動を通して確認された自死遺族グループの変容を局面として捉え、研究対象者とスタッフの相互作用を含めて検討し、自死遺族グループの変容過程における研究対象者の肯定的な発言や行動に着目してPTGを抽出した。その結果、自死遺族グループの変容過程として、局面1【研究への参加同意とパートナーシップ形成】、局面2【自死遺族グループに対する『願い』の確認と共有】、局面3【卒業者の体験を共有する機会の設定】、局面4【研究対象者が協力し合い,自死遺族グループの開催に向けて主体性を育む】、局面5【立ち止まり振り返るための停滞】、局面6【研究対象者とスタッフが協力し合い,主体的に自死遺族グループを運営する】、局面7【つどいの場への進化】、局面8【自死以外の話題による喜びの分かち合いの展開】、局面9【『願い』と運営の再確認】、局面10【『自死遺族グループを末永く維持していく』という『願い』の実現に向けた自死遺族としての役割の発揮】の10の局面が確認された。
この変容過程を通して、研究対象者全員が積極的にグループに関与し、受動的ではなく能動的に関わる変容が見られた。自死遺族グループの中で役割を見つけ、能動的に自死遺族としての役割を遂行し、他の自死遺族を支える側に移行した点は、研究開始時には見られなかった新たな可能性の獲得であり、自死遺族のPTG であった。研究対象者個々によりPTGの進度は異なったが、自死遺族グループの変容が研究対象者全員に波及し、自死遺族のPTGを促していた。