教員紹介 | |
クダラ マサカズ
百濟 正和 所属 経営学部 経営学科 職種 教授 |
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発表年月日 | 2023/09/02 |
発表テーマ | 社会文化的言語観と日本語教育実践者の専門性 |
会議名 | 英国日本語教育学会第25回年次大会 |
主催者 | 英国日本語教育学会 |
学会区分 | 国際学会 |
発表形式 | 口頭(一般) |
単独共同区分 | 単独 |
国名 | イギリス |
開催地名 | オックスフォード |
開催期間 | 2023/09/01~2023/09/02 |
概要 | 本発表では、社会文化的言語観とそこから導き出される言語教育アプローチが、日本語教育実践者の専門性に関する議論にどのような示唆をもたらすかについて考察する。現在第二言語教育のアプローチとして注目されているのは、タスク主導の言語教育アプローチ(TBLT)である。このTBLTの理論的基盤は、第二言語習得研究の成果を基にした言語学習理論に拠っている(Ellis 2005)。一方TBLTの前身であるCommunicative Language Teaching(以下CLT)の主な理論的基盤は、ハリデーやハイムズの言語理論に影響を受けた社会文化的言語観である(Widdowson 2008)。つまりこの点が構造言語学を理論的基盤としていたCLT以前の言語教育メソッドとCLTの大きな相違点である(Richards and Rogers 2014)。
しかし日本語教育の現場で未だ広く採用されている「文法・文型積み上げ式」アプローチが理論的基盤としている言語理論は、まさに構造言語学といえ、CLT以前からこの言語観は更新されていない。さらに現在の日本語教育実践者の専門性をめぐる議論は、この「文法・文型積み上げ式」のアプローチが今後も「主流」として採用されることを前提としている。しかし今後社会文化的言語観が日本語教育に広く浸透し、新たな日本語教育が再構築されるのであれば、日本語教育実践者の専門性に関する議論の方向性も変わりうるといえる。 本発表では、まずCLTからTBLTに至る言語教育アプローチの変遷を辿り、次に社会文化的言語観について詳しく論じる。そして社会文化的言語観を基盤とした日本語教育のアプローチを構築した場合に、日本語教育実践者の専門性としてまず何を身に付けなければならないかについて議論する。具体的には、言語リソースの少ない学習者とのやり取りを継続させながら、その中で言語的補助を適切に提供できる能力の養成が優先されるべきだと提案する。 |