ソノイ ミカ   Sonoi Mika
  園井 みか
   所属   ノートルダム清心女子大学  人間生活学部 食品栄養学科
   職種   講師
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2024/01
形態種別 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
査読 査読あり
標題 専門管理栄養士がレクチャー!Case Reportに学ぶ 摂食嚥下障害の栄養アセスメントと介入のコツ(vol.16) 栄養に関連したアドバンス・ケア・プランニングの重要性を再認識した失語症を患った症例
執筆形態 単著
掲載誌名 臨床栄養
掲載区分国内
出版社・発行元 医歯薬出版(株)
巻・号・頁 144(1),126-131頁
担当区分 筆頭著者
著者・共著者 園井 みか
概要 【背景】超高齢社会に突入し,ACP(advance care planning:アドバンス・ケア・プランニング)の重要性は高まっている.摂食嚥下リハビリテーション(以下,摂食嚥下リハ)領域では,経口摂取や経腸栄養の可否などが議論として上がるが,それ以外の項目については議論に上がることが少ないのが現状である.今回,失語症患者の栄養に関連したACPの重要性を再認識した症例を経験したので,報告する.【症例】ACPの記載がない90歳代,女性.キーパーソンは夫の姪である.施設入所中であった7ヵ月前に脳梗塞を発症し,急性期病院に入院後,当院に転院となった.脳梗塞の後遺症として右半身麻痺,失語症を患っていた.嚥下機能評価を行い,経口摂取可能と判断したが,患者本人の「食べよう」という意欲が乏しく,経鼻経管栄養で栄養管理を行っていた.【結果】キーパーソンの,患者に対するACPは「穏やかな最期を迎えてほしい」というものであった.しかし,そのACPに対するスタッフ間のとらえ方がさまざまであったため,栄養管理方法に対する意見がまとまらず,経鼻経管栄養にて継続して栄養管理を行った.介入から2ヵ月後,患者が経口摂取への意欲を示したため,嚥下機能評価を行ったのち,経口摂取を開始した.食嗜好に偏りがみられたため,食形態や食事内容の調整を頻回に行った.3ヵ月後には主に経口摂取で栄養管理が行えるようになり,4ヵ月後に経口摂取のみで退院となった.【考察】失語症をともなう摂食嚥下障害患者では,患者や患者家族が,(1)経腸栄養,静脈栄養についてどう考えるか,(2)リスクがあっても経口摂取を行いたいか,(3)病前の食嗜好がどのようなものであったか,をACPに記しておくと,経口摂取の可否および開始後の糸口となり,「生」への基本的欲求について解決できる.【結論】食事に関連した事項を記したACPを作成しておくことは,患者の尊厳を守ることにつながる.(著者抄録)
ISSN 0485-1412