ナガハマ タカヒコ
NAGAHAMA Takahiko
長濱 統彦 所属 ノートルダム清心女子大学 人間生活学部 食品栄養学科 ノートルダム清心女子大学大学院 人間生活学研究科 食品栄養学専攻 修士課程 ノートルダム清心女子大学大学院 人間生活学研究科 人間複合科学専攻 博士後期課程 ノートルダム清心女子大学 キリスト教文化研究所 職種 教授 |
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発表年月日 | 2020 |
発表テーマ | 下水活性汚泥における微胞子虫DNAの多様性とヒト感染性系統の検出 |
会議名 | 日本菌学会第 64 回大会 |
主催者 | 日本菌学会 |
学会区分 | 全国学会 |
発表形式 | 口頭(一般) |
単独共同区分 | 共同 |
発表者・共同発表者 | 久保田純苗、光信智恵、長濱統彦 |
概要 | 微胞子虫は様々な動物に寄生する偏性細胞内寄生性の単細胞真核生物である。微胞子虫は動物や原生生物に感染するが、一部は人獣共通感染症を引き起こす。人では消化管、角膜、生殖器、呼吸器に感染し、乳児、AIDS患者では重篤化することがある。しかし、我が国における人への感染状況、自然環境中の分布などは明らかになっていない。活性汚泥には人の排泄物、小型動物、原生生物などが含まれ、それらを宿主とする微胞子虫DNAが存在すると考えられる。本研究では複数の浄化センターから活性汚泥を採取し、微胞子虫DNAを特異的に増幅し、次世代シーケンサーにより解析することで、微胞子虫の分布や多様性、地域差などを見出すと同時に、ヒト感染性種を検出することを目的とした。サンプルは岡山県内の浄化センター5か所において採取した。サンプル約0.2gをジルコニアビーズと共に破砕し、市販のSoil DNA kit を用いてDNAを抽出した。微胞子虫に特異的な複数プライマーペアを用いてNested PCRを行い、微胞子虫の小サブユニットrRNA遺伝子約500塩基対の増幅を試みた。増幅DNAは精製した後、次世代シーケンサー(Miseq)により約10⁶リードの配列決定を行い、Mothur Miseq SOP Pipelineに基づいて、コンティグ作成、低クオリティ配列除去、アライメント、キメラ除去、OTUクラスタリングおよび代表配列の選択などを実施した。全ての活性汚泥から極めて多様な微胞子虫SSU配列群が検出されたが、分離源により微生物叢は大きく異なっていた。また、決定した配列のBlastn相同性を調べたところ、大部分が既知配列に対して相同性90%以下を示したことから、高いレベルで新規な系統種で構成されていることが推定された。さらに、最近タイにおいて見つかった全身感染性の微胞子虫が本研究においても検出されたことから、日本への伝播が示唆された。 |