コウ メイジ
Koh Meijii
黃 名時 所属 国際文化学部 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 1991/06 |
形態種別 | 研究論文(学術雑誌) |
標題 | 唐代の天子鏡 ―その盛行年代を中心として― |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 『竹田晃先生退官記念 東アジア文化論叢』 竹田晃先生退官記念編集委員会編 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 汲古書院 |
巻・号・頁 | 255-277頁 |
概要 | 本稿は中唐白居易の「百錬鏡」詩に歌われた飛龍の鏡である「天子鏡」を取り上げたものである。筆者のこれまでの唐鏡研究を基に新たに近年の中国の発掘報告等を渉猟して、この鏡に関連する詩文・史書の文献史料ならびに考古資料の両者を駆使し、主としてこの鏡のより細密な盛行年代を追求すると同時に詩人の「天子鏡」に対する諷意にも注意を払い考察を行った。その結果、特殊な鋳造になるこの皇帝特別の鏡は揚州で製作されたものが多く、とりわけ「千秋」の銘が入った鏡は開元17年(729)から天宝7年(748)の間に玄宗の生日「千秋節」を祝賀するものとして鋳造されたものであろうと推測される。この鏡の流行年代の解明によって、元和4年(809)の「百錬鏡」詩に歌われた天子鏡が中唐の「皇帝の鏡」を意味するものではなく、さかのぼって盛唐の飛龍鏡を指すものであることが明らかとなる。また詩人が天子鏡を皇帝への賛美としてでなく、むしろ玄宗個人への痛烈なる批判・諷諭として詠じていることを指摘したが、このことは玄宗と楊貴妃の物語を詠った元和元年(806)の「長恨歌」とともに、玄宗皇帝の悲劇を後世への鑑戒にしようとした白居易の意図がここに読み取れ、この両詩を諷諭詩とみる上で一つの材料を提供することになると思われる。 |