アカソ ナオユキ   AKASO NAOYUKI
  赤楚 治之
   所属   外国語学部
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2015/03
形態種別 研究論文(学術雑誌)
標題 素性継承によるC不可視化と「が・の」交替:Fin-headを巡って
執筆形態 単著
掲載誌名 名古屋学院大学論集 言語・文化篇
掲載区分国内
巻・号・頁 第26巻(第2号),17-31頁
概要 本稿の目的は,Chomsky(2008)で提案された素性継承によって,上位の主要部H1の素性がすべてH2に継承されるならば,その派生段階以降,H1は統語計算では見えなく(invisible)なるという「素性継承によるC不可視化」を提案することにある。この仮説によれば,finiteness素性がT-headに継承されると,それらの素性はTにおいて具現化されることになり,その結果,Finiteness主要部(Fin-head)はinvisibleになり,labelingに関与できなくなる。日本語の属格主語連体節においてHiraiwa(2001)が主張する,Fin-headが属格の認可に関与するという分析は,実は,この「素性継承によるC不可視化」によって,phaseを構成するCP(FocPだと考えられる)がなくなり,主要部名詞のD素性から属格が与えられるということになる。この分析の帰結として,本稿では英語のECM構文に見られる問題点が解消されること,ならびに,Akaso and Haraguchi(2011)の反例が本稿での提案の下で,反例ではなくなることを論じる。
キーワード:定性素性,素性継承,「が・の」交替