イワタ ミエコ   Mieko Iwata
  岩田 三枝子
   所属   神学部 総合神学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2017/03/31
形態種別 研究論文 
査読 査読あり
標題 賀川ハル(1888−1982)における市民社会理解の変遷過程
執筆形態 単著
掲載誌名 キリストと世界
掲載区分国内
出版社・発行元 東京基督教大学
巻・号・頁 (27),1-24頁
概要 賀川ハル(1888-1982、以下ハル)は、夫である賀川豊彦と共に、大正・昭和に おいて、市民社会の活動を展開した。その活動の領域は、スラムでの貧困層への活 動に始まり、労働組合運動、農民運動、協同組合運動、平和運動等と多岐にわたる。 賀川夫妻の活動を理解するうえで、妻であったハルの担った役割の重要性について は先行研究でもすでに指摘されているとおりであるが、筆者は、そのハルを理解す るうえで、ハルが女性であること、キリスト教信仰者であること、そして市民社会 での活動を展開したことの三点に着目し、これまでの研究で、その女性観、家庭観、 またイエス観を考察してきた。 それらの考察を踏まえ、本稿では、市民社会での働きの背後にあるハルの市民社 会理解の変遷過程を検討する。その際、市民社会への理解に大きな変化がみられる ハルの前半生を三期に区分して考察を行う。第一期のキリスト教入信以前には、ハ ルの関心は、私的領域の事柄に限定されている。しかし、第二期のキリスト教入信 直後になると、ハルの関心は、スラム活動の対象者である他者へと広げられていく。 さらに第三期の賀川夫妻の市民社会での働きが日本国内だけではなく、世界的にも 認識されていく時期においては、多様な他者と共に協働するより広い市民社会への 関心へと開かれていった。このようなハルの前半生において開かれていく公共領域 への理解をもって、ハルは以後も、夫豊彦と共に市民社会における活動を継続して いくことになる。
researchmap用URL https://tcu.repo.nii.ac.jp/records/2415