チバ サトル   Satoru CHIBA
  千葉 諭
   所属   東京医療学院大学  保健医療学部 リハビリテーション学科 基礎教員
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 1987/01
形態種別 研究論文(学術雑誌)
査読 査読あり
標題 膵島構成細胞の自然歴に関する研究 とくに糖尿病との関連について
執筆形態 単著
掲載誌名 東京慈恵会医科大学雑誌
掲載区分国内
巻・号・頁 102(1),233-254頁
著者・共著者 千葉 諭
概要 膵島構成細胞の動態はIn細胞(B細胞),Gl細胞(A細胞),So細胞(D細胞)のmajor三系の他に,それらいずれにも染め出されないNu細胞の存在を無視して論ずることは出来ない.これらは他種のホルモン産生細胞を除外してもかなりの数を有している.これは一種のreserve cellと考えられ,膵島の機能的予備として位置付けることが出来る.2)膵島構成細胞比率の加齢動態はIn, Soが軽減,Glの軽度増加がIn, GlとNu細胞との可塑的逆相関の中で推移する.3)頭・体・尾部における相対膵実質は,加齢とともに直線的減少を示すが,減衰率は頭部で最も大きい.しかし三領域の相対面積比では頭部の加齢増加,体,尾部の減少が示される点から,外分泌液末梢に位置する体,尾部は最も高い絶対的減少をこうむる.4)膵島数は指数函数的に加齢減少するが,頭部における減少率が最も高い.5)糖尿病群における島細胞はGl-So間の正相関的緊張の亢まる中で両者が増加し,In, Nuが減少する.これは膵島の絶対的予備能力枯渇状態下の体制と考えられる.NIDDMではInは比較的保存される.6)肝硬変群ではGl, In細胞の減少に伴い,Nu細胞が増す.InとSoに相関性の亢まりが認められる.これは一種の島細胞の機能抑制状態と推測される.7)微小島,不全島は共に主膵管口に近づくにつれて割合を増す.とくに前者はLC, DM群で増すが,後者の増加はDM群において著しい.この点より不全膵島は組織次序の予備機能を担い,成熟3型膵島という常設構造に対して一種の仮設的機能構造とみることが出来る.