サカイ ヒロヤ
Hiroya SAKAI
酒井 宏哉 所属 東京医療学院大学 保健医療学部 リハビリテーション学科 基礎教員 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2015/06 |
形態種別 | 研究論文(学術雑誌) |
査読 | 査読あり |
標題 | 特発性膝関節血症の超音波所見-健常者および外側半月損傷との検討- |
執筆形態 | 共著 |
掲載誌名 | 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会誌 |
掲載区分 | 国内 |
巻・号・頁 | 第40巻(3),835-840頁 |
著者・共著者 | 白木克彦 星川淳人 平岡久忠 佐々木有記 酒井宏哉 |
概要 | 【背景】特発性膝関節血症は,外反型の変形性膝関節症(以下,OA膝)に伴う外側半月板(以下,LM)損傷により,その辺縁を走行する外側下膝動脈が損傷し出血すると考えられている.保存療法で止血されない場合や出血を繰り返す場合は,関節鏡により出血源を検索し凝固止血するのが一般的であるが,非侵襲的に出血源を確認することは可能かと考え,特発性膝関節血症例に対して超音波検査を行った.【方法】外側関節裂隙にプローベをあて,カラードップラーモードを用いてLM辺縁部の血流を観察した.さらに,健常者,および関節血症のないOA膝に伴うLM損傷例と比較した.【結果】術前の超音波ドップラー像は,LMの辺縁に,拍動性の点状の血流シグナルが複数描出された.また,大腿骨,脛骨の間隙に,関節中心部に向かう拍動性の噴出する血流シグナルを認めた.関節鏡では断裂したLM辺縁部に出血部位がみられ,半月処置に加えて出血部位の凝固止血を実施した.術後2週では複数の点状の血流シグナルは術前同様に認めたが,噴出する血流シグナルは認めなかった.術後3ヵ月では点状の血流シグナルは複数描出されているが,消褪傾向であった.また,噴出する血流シグナルは認めなかった.健常者ではLMの辺縁に,拍動性の小さな点状血流シグナルを1ヶ所に認めるのみであった.また関節血症のないOA膝に伴うLM損傷例では,複数の点状の血流シグナルが確認されたが,関節中央へ向かう噴出する血流シグナルは確認できなかった.【考察】術前に認められた噴出する血流シグナルは,術後には確認できなくなっていたことと,健常者や,関節血症のないOA膝に伴うLM損傷例ではこの血流シグナルが確認できなかったことから,特発性膝関節血症に特異的な所見と考えた.LM辺縁部の血流シグナルの増加は,関節血症を伴わないLM損傷例でも認められたことから,LM損傷に対する修復機転としての微細な血管増生を描出しているものと推察された.LMの変性が高度で損傷が半月板辺縁部に達する場合,関節運動に伴って損傷断裂部を介して脆弱な増生血管に牽引力が作用し出血をくり返すものと推測した.【結論】特発性膝関節血症例において,関節内への動脈性出血を,超音波検査で拍動性に噴出する血流シグナルとして確認できた.特発性膝関節血症に対して,超音波検査はその出血源を知る上で診断の一助になると考えられた. |