サカイ ヒロヤ
Hiroya SAKAI
酒井 宏哉 所属 東京医療学院大学 保健医療学部 リハビリテーション学科 基礎教員 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2017/06 |
形態種別 | 研究論文(学術雑誌) |
査読 | 査読あり |
標題 | 前十字靭帯再建術後の安定性獲得と術前の等速性膝伸展・屈曲筋力の関係 |
執筆形態 | 共著 |
掲載誌名 | 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会誌 |
掲載区分 | 国内 |
巻・号・頁 | 第42巻(3),517-524頁 |
著者・共著者 | 星川淳人 平岡久忠 佐々木有記 中村晴彦 酒井宏哉 |
概要 | 【背景】前十字靱帯(ACL)再建術後の安定性獲得にはさまざまな因子が影響する.手術手技が最も大きな影響を与えるが,移植腱の質や骨孔と腱の固着といった生物学的な要因もその一つと考えられる.腱組織は力学的負荷に応じて力学的特性や形態が変化し,筋力と腱のスティフネスに正の相関があることが報告されている.採取される腱のスティフネスが高ければ,術後に移植腱の過度の伸長が起こらなくなることが期待されるため,筋力の高い症例では良好な膝安定性が得られる可能性がある.【目的】術前下肢筋力とACL再建膝の安定性の関連性を検討すること.【方法】2011年1月から2015年7月にかけて実施した二重束ACL再建術160例のうち,術前の等速性下肢筋力測定と術後1年でのKT-1000による膝安定性の評価を行い得た65例(男性38例・平均年齢31歳,女性27例・平均年齢28歳)を対象とした.膝伸展および屈曲筋力として角速度60°/秒でのピークトルク値の左右の大きな方を選択し,大腿骨側骨孔径,および術後1年時のKT-1000による30ポンド前方移動量の患健差との関連を検討した.【結果】骨孔径の違いにより膝安定性,および体重比筋力には有意な差を認めた.単回帰分析では術前筋力と前方移動量患健差に有意な関連は認めなかったが,男性では膝屈曲筋力の大きな症例は小さな症例に比べ,前方移動量患健差が有意に小さかった.【考察】術前筋力とACL再建術後の膝安定性に強い関連性は認めなかったが,筋力の大きく異なる2群を選んで比較したところ有意差を認めたことは,術前筋力が移植腱の力学的特性に影響し,術後の安定性に関連する可能性が示唆されたと考えた.術前筋力が低いと骨孔径が小さくなる,すなわち十分な径の移植腱を採取できず前方動揺性が大きくなるリスクが高まる可能性がある. |