サカイ ヒロヤ   Hiroya SAKAI
  酒井 宏哉
   所属   東京医療学院大学  保健医療学部 リハビリテーション学科 基礎教員
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2019/06
形態種別 研究論文(学術雑誌)
査読 査読あり
標題 3次元電磁気センサーを用いたgravity-assisted pivot-shift testにおける膝関節動態の評価
執筆形態 共著
掲載誌名 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会誌
掲載区分国内
巻・号・頁 第44巻(3),644-649頁
著者・共著者 物部芳郎 星川淳人 佐々木有記 中村晴彦 税田和夫 酒井宏哉
概要 【背景】GAPS(gravity-assisted pivot-shift)テストは下肢の自重を利用して膝回旋不安定性を検出するテストである.具体的には診察台で患側を下にした側臥位となり診察台の外に膝,下腿を出して下腿を床と水平に伸展させる.膝伸展20°あたりで急激な下腿の内旋がみられれば陽性である.前十字靱帯(ACL)不全膝における陽性率は約60%とされ,その臨床的意義は不明な点が多い.この研究ではGAPSテストにおける膝の動きを正確に把握するために,3次元電磁気センサー(EMS)を用いた評価を行った.【方法と対象】片側ACL損傷11患者の患側11膝と健側11膝を対象とした.EMSを装着しGAPSテストを施行.得られた脛骨回旋速度から内外旋切り替え回数を健側群,GAPS陰性(N群),不安感のみ(A群),pivot-shift陽性(P群)の4群に分け評価した.膝伸展時に内外旋を頻繁に繰り返している場合は不安定,外旋方向もしくは内旋方向に継続的に動いている場合には安定している回旋運動が行われていると考えた.【結果】N群4膝,A群4膝,P群3膝であった.膝伸展運動中の内外旋の切り返し回数は,健側で平均18.0回,N群で8.0回,A群で144.3回,P群で32.0回であった.A群と健側群・N群では有意な差が認められた.【考察】N群とA群はpivot-shift現象を認めなかったが,両群の膝の動態には明らかな差があった.A群ではGAPSテスト中に頻繁な内外旋運動を認め,不安感によって筋性防御が強く作用した結果と考えた.P群はA群と比べて有意な差は認められなかったがP群の方がA群に比べ内外旋切り替え回数が少ない傾向にあった.GAPSテスト陽性のリスクファクターとして膝屈曲筋力の低値があり,膝屈筋はGAPSテストにおいてpivot-shift現象に対するアンタゴニストとして作用すると報告されている.内外旋切り替え回数が筋性防御の程度とすれば,P群ではA群より膝屈筋の筋力が低下しており筋性防御が抑制されていた可能性が考えられる.【結語】EMSにてGAPSテストの膝動態の客観的評価を行った.GAPSテストにおけるpivot-shift陽性群・不安感のみある群では,他群と比べ異なる膝動態をしていることが認められた.