サカイ ヒロヤ   Hiroya SAKAI
  酒井 宏哉
   所属   東京医療学院大学  保健医療学部 リハビリテーション学科 基礎教員
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2020/06
形態種別 研究論文(学術雑誌)
査読 査読あり
標題 高位脛骨骨切り術における骨補填材の骨置換過程の検討 -前向き試験におけるβ-TCPと水酸アパタイト・コラーゲン複合体の比較-
執筆形態 共著
掲載誌名 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会誌
掲載区分国内
巻・号・頁 第45巻(3),694-700頁
著者・共著者 星川淳人 平岡久忠 中村晴彦 佐々木有記 税田和夫 酒井宏哉
概要 【目的】内側開大式高位脛骨骨切り術(OWHTO)の開大部に補填したβーリン酸三カルシウム(βーTCP)とハイドロキシアパタイト・コラーゲン(HA/Col)複合体の骨置換過程を前向き試験により比較すること.【対象と方法】2014年1月から2017年10月にかけてOWHTOを行った連続する24膝を無作為に2群に割り付け,開大部に気孔率75%のβーTCP顆粒体(TCP群14膝)またはHA/Col複合体(HA/Col群10膝)を充填した.単純X線像で骨癒合と判断した時期,術後6,12ヵ月で撮影したCT画像を用いて開大部の骨梁形成と後方骨皮質の連続性を評価した.また画像解析ソフトを用いて開大部のCT値を測定し,骨切り部周囲の海綿骨と比較した.【結果】2群間で年齢,性別,BMI,矯正角度に有意差を認めなかった.TCP群1膝,HA/Col群2膝で骨形成促進目的にLIPUSやテリパラチドを導入したため解析から除外した.単純X線像上,脛骨中央で開大部が癒合したと判断された時期はTCP群が術後321日,HA/Col群が術後325日であった.開大部の長径を100%としたとき,CT画像にて開大部で人工骨が消失し骨梁の連続性を認めた,あるいは後方骨皮質の連続性を認めた最内側地点は,術後6ヵ月でTCP群が脛骨外側からそれぞれ58%,50%であり,HA/Col群が64%,56%であった.術後12ヵ月では後方骨皮質の連続性はTCP群で73%,HA/Col群で77%まで進行していた.術後6ヵ月と12ヵ月で比較して開大部CT値の中央値は両群とも経時的に低下していたが有意差は認めなかった.12ヵ月でのCT値は中央値,最大値とも海綿骨<HA/Col群<TCP群であった.【考察】βーTCPとHA/Col複合体を比較した先行研究では,骨再生に関してHA/Col複合体のβーTCPに対する優位性を報告している.本研究が異なる結果となった理由として,本研究のβーTCPが吸収されやすい顆粒体であったことが考えられた.画像上,人工骨がほぼ自家骨に置換されたようにみえてもCT値で評価すると両群とも周囲海綿骨のCT値とは異なっていた.【結語】βーTCP顆粒体とHA/Col複合体をOWHTOの開大部に補填した場合の自家骨置換の進行程度には明らかな差はないものと考えられた.