チバ サトル   Satoru CHIBA
  千葉 諭
   所属   東京医療学院大学  保健医療学部 リハビリテーション学科 基礎教員
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2008/11
形態種別 研究論文(学術雑誌)
査読 査読あり
標題 ヒト肝障害におけるビタミンAエステル化酵素LRATと細胞内レチノール結合蛋白CRPB-1共発現星細胞の意義
執筆形態 共著
掲載誌名 東京慈恵会医科大学雑誌
掲載区分国内
巻・号・頁 123(6),316頁
著者・共著者 永妻 啓介(東京慈恵会医科大学附属病院 消化器・肝臓内科), 松浦 知和, 田中 賢, 斎藤 勝也, 瀧川 真吾, 高木 一郎, 鹿 智恵, 千葉 諭, 田尻 久雄, 羽野 寛
概要 目的:肝線維化に関与する細胞については星細胞(伊東細胞)の細胞外基質の産生, 沈着が肝線維化の主な病因とされてきたが, 門脈域のmyofibroblast/fibroblastや骨髄リンパ系由来のfibrocyte, また肝細胞, 胆管上皮細胞からの移行した細胞も線維産生細胞であることを示唆する知見が示されてきている. 星細胞はビタミンA貯蔵に必要なビタミンAエステル化酵素であるlecithin:retinol acyltransferase(LRAT)と細胞内レチノール結合蛋白(CRBP-1)が陽性なので,星細胞が,実際のヒト肝臓障害において線維化にどの程度関与しているかを検討するため, ヒト慢性肝障害症例を対象に, 抗LRAT抗体と抗CRBP-1抗体の二重免疫染色を施行し, 解析を行なった. 方法:当院にて外科手術, 生検により得られたヒト正常肝, 障害肝検体を対象とした. パラフィンブロックから薄切切片を作成し, 抗LRAT抗体と抗CRBP-1抗体の蛍光二重染色を行ない, 肝実質域, 線維化域の陽性細胞数を単位面積あたりで計測し, 比較した. 一部の標本はmyofibroblastマーカーである抗α-smooth muscle cell actin(α-SMA)抗体で染色した. 結果:正常肝では門脈域のLRAT+/CRBP-1+細胞はほとんど観察されなかったが, 障害肝の線維化域では明らかにLRAT+/CRBP-1+細胞が多くみられた, とくに線維性に拡大したinterface hepatitisやbridging necrosisの領域に陽性細胞が多い傾向を示した. 実質域では, 正常肝, 障害肝ともに陽性細胞数の変化は見られなかった. 門脈域および線維化領域の細胞のほとんどはα-SMA陽性細胞であった. 結論:正常肝の門脈域にLRAT+/CRBP-1+細胞が少なく, 障害肝の線維化域に陽性細胞が多く見られたことから, 本来門脈域には存在しない星細胞が類洞Disse腔から線維化域にmigrateし, 門脈域のmyofibroblastとともに線維化の病態に一部関与していることが示唆された.