スエキ ハジメ   SUEKI Hajime
  末木 新
   所属   和光大学  現代人間学部 心理教育学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2019
形態種別 論文
標題 ICTを用いた自殺対策の新たな方向性の検討
執筆形態 指定なし
掲載誌名 平成30年度革新的自殺研究推進プログラム研究成果報告書
著者・共著者 伊藤 次郎,末木 新,高橋 あすみ
概要 本研究では、検索連動型広告の実験的検証(研究1)および、インターネット・ゲートキーパー活動の形式知化(研究2)の二つを実施した。<br />
(研究1)自殺に関連する用語を検索した結果として表示される検索連動型広告は、自殺ハイリスク者へのアウトリーチ策として有用な一方で、現状ではさまざまな種類が配信されているために、内容や表現によってはユーザーの相談を促すどころかかえって自殺誘発的にはたらく可能性もある。そこで、自殺を考える人が広告を見た場合に考えられる影響を対象者に評価してもらうwebアンケートを実施した。20~60代の成人男女1,155名の回答を統計的に分析した結果、一般的な相談の広告に比べて、検索エンジンや通販サイトの企業広告のように自動的に検索用語が反映される種類の広告は、その文面から自殺念慮や自殺企図を促しやすいと評価された。また、過去に自殺念慮を抱いた経験のある者は、経験がない者よりも相談の広告をより肯定的に評価しており、相談の広告は他の広告に比べて、自殺リスクのある者にターゲティングできていることが推測された。また、自殺を考える人の相談が促されやすいと判断された広告の条件は、「つらかったですね」「死なないで!」といった呼びかけや、相談の手段、相談機関へのアクセスが含まれていることであった。一方、具体的な支援の内容や、問題解決を謡う文言、「自殺は若者の死因の第1位」のような情報は、相談の広告には不要な要素であることが示された。<br />
(研究2)インターネット・ゲートキーパー活動のエビデンスを蓄積すること、そして本活動を他の相談機関にも普及することを目的として、NPO法人OVAが実践している支援の内容を『インターネット・ゲートキーパーの手引き―自殺ハイリスク者へのオンライン相談―ver.1』として整理した。相談活動の具体的手法を掲載した本編は、今後外部の専門家のヒアリングを受けて完成させ、申請のあった相談機関に提供する。
PermalinkURL http://irpsc-jssc.jp/file/2018/report/3-5_achivement2018.pdf